AIの力で変わる中国人旅行者の計画と訪日市場の未来展望
2026年4月24日に行われたオンラインセミナー「訪日中国インバウンドの最新動向と今後の展望~AI活用による旅行意思決定の変化と航空データから見る訪日需要~」は、訪日観光市場の最前線における重要な議論を生み出しました。主催は一般社団法人日中ツーリズムビジネス協会(CJTC)で、インタセクト・コミュニケーションズ株式会社が協力しました。
このセミナーでは、中国人旅行者がどのようにAIを活用して旅行計画を立てているのかという変化について詳細が共有されました。インタセクトのメディアプランナーの辰巳亮氏が登壇し、AIにより影響を受けた旅行の意思決定プロセスの詳細を語りました。
旅行計画の変化
辰巳氏は、春節に日本旅行を計画する429人の旅行者を対象とした調査を基に、なんと90%以上がAIを利用して旅行計画を立てていることを示しました。旅行者は、出発の約40日前からAIとコミュニケーションを行い、目的地、旅行ルート、訪れるべき穴場スポットなどを段階的に具体化していきます。
これまでの中国市場においては、百度や小紅書、抖音などのSNSが主な情報収集の手段とされていましたが、最近ではDeepSeekや豆包、元宝といった生成AIを使って旅行計画を進める行動が一般化しています。この進化は旅行者の情報収集方式を根本的に変えつつあり、さらなる注目が必要です。
GEO対策の重要性
本セミナーでは、従来のSEO(検索エンジン最適化)に加えて、「GEO(Generative Engine Optimization)技術」が新たに重要だとされました。従来のSEOが検索結果において商品の発見を助ける手法であるのに対し、GEOはAIによって情報が正確に認識されるための施策です。これにより、旅行計画が初期段階からセグメントされる可能性が高まります。
受入体制と集客施策
質疑応答では、受入体制整備と集客策を同時に進める必要性が強調されました。AIを用いた発信やWeChat、百度などのプラットフォームでの情報発信は同時に行うべきで、特に旅行者の体験価値を高めることが重要とされました。
企業や自治体は正確で新鮮な情報を持ち続け、AIに正しく認識されることが求められています。誤った情報や古い情報が吸収されるリスクを避けるためにも、自ら能動的に情報を発信していく必要があるのです。
未来のインバウンド施策
インタセクト社では、中国本土や台湾をターゲットとしたプロモーションを行い、AIを駆使した旅行意思決定プロセスに基づいた支援を今後さらに強化する方針を示しています。旅行者の行動をデータに基づいて把握し、実効性のある訪日誘客施策の構築を進めていくとのことです。
まとめ
AIを利用した旅行計画の進化は、訪日観光市場に新たな変革をもたらしています。この動きに対応するためには、企業や自治体が一体となって情報を整備し、受け入れ体制を構築することが求められています。新たな技術の流れに乗り遅れないよう、積極的な取り組みが必要です。