インバウンド客が選ぶ百貨店の魅力
株式会社Paykeによる調査から、日本を訪れる外国人観光客の91%が百貨店を利用していることが明らかになりました。この調査は、1,452名の訪日観光客を対象に百貨店の利用実態について多言語のアンケートを実施した結果です。以下では、調査結果をもとに、外国人観光客が百貨店を選ぶ理由や人気ブランドの現状について詳しく探っていきます。
百貨店の利用率と来店動機
訪日外国人の中で91%が百貨店を訪れた経験があると報告されており、その中でも繁体字話者の87%が2回以上足を運ぶなど、高いリピート率を示しています。英語話者も83%が再訪している一方で、「利用していない」との回答も一定数あり、その理由がブランドの魅力に届いていない可能性も指摘されています。
なぜ百貨店を訪れるのか?
来店目的として最も多く挙げられるのは、「日本でしか手に入らない商品がある」(54.16%)。これは、百貨店が特有の買い物体験を提供する場として強く認識されていることを示します。また、「自国より安く買える」(45.48%)や「食体験」(40.71%)といった価格や品質の面でも評価されています。
特に繁体字圏の旅行者は、デパ地下での食品購入を67.85%と高い割合で選択。さらに、日本限定のファッションブランドも49.58%が選んでいることから、買い物と食を楽しむ層が多いことが分かります。一方、英語話者ではギフトやコスメに対する需要が目立ち、韓国語話者はファッションブランドに高い関心を示しています。
人気ブランドの認知度と利用状況
次に、どの百貨店ブランドが認知され、実際に訪問されているかを見ていきましょう。
百貨店ブランド認知度ランキング
1位: 高島屋 69.42%
2位: 三越 67.56%
3位: 大丸 66.39%
4位: 伊勢丹 55.37%
5位: 阪急・阪神 54.41%
6位: 東急 42.42%
7位: 西武 42.08%
8位: 近鉄 33.47%
9位: 松坂屋 32.58%
10位: 小田急 25.69%
11位: 京王 25.21%
興味深いことに、異なる言語話者によって認知度の傾向が異なります。韓国語話者においては大丸と阪急・阪神がともに79.26%で1位となり、関西のデパートが特に人気です。一方、繁体字話者は高島屋や三越の認知度が高く、日本の老舗百貨店の強さを示しています。
認知度と実際の利用率
利用率においても、高島屋、大丸、三越がそれぞれ53.58%、53.03%、50.34%で上位を占めており、ブランドを知っていることが直接来店につながっていることがわかります。特に韓国語話者では阪急・阪神が68.66%の高利用率を記録し、他の言語圏には見られない傾向が確認されました。
百貨店に行きたくない理由
そんな中でも、 「時間がない」との理由で百貨店を利用しなかったという回答が最も多く、他のショッピング施設と比べて利用されにくい現実があります。特に手軽さが求められる中で、コンビニやドラッグストアの利用が主流となっている傾向が見受けられます。
まとめ
百貨店はこうしたインバウンド観光客にとって魅力的なショッピングスポットでありながら、来店意欲には時間的制約が影響していることがわかりました。今後は、観光動線に沿ったプロモーションや、オンライン上での情報発信が集客の鍵になるでしょう。
また、地方百貨店に対してもインバウンド需要の取り込みが求められる時代が訪れ、大きなチャンスが訪れるかもしれません。引き続き、私たちはこの市場の動向を注視していきます。