社会的孤立に立ち向かう『DNP居場所づくりプラットフォーム』
大日本印刷株式会社(DNP)は、2025年9月17日に自治体やフリースクールなどを対象にした「DNP居場所づくりプラットフォーム」の提供を開始しました。このプラットフォームは、不登校やひきこもり、災害による孤立、言語の壁、情報や学習機会の格差など、さまざまな社会的問題を抱える人々が直面している孤立を解消するための支援を提供します。
プラットフォームの背景と目的
近年、日本では教育環境の変化や自然災害が影響し、多くの子どもたちが不登校や孤立の状態に置かれています。また、日本語学習者にとっては言語の壁が障害となり、情報や学習機会にアクセスするのが難しい状況も存在します。このような現状に加えて、支援を必要とする人々や彼らを支援する自治体や団体も、リソース不足という深刻な課題に直面しています。こうした問題に対処するため、DNPはXR(Extended Reality)やAI技術を活用し、アクセスしやすい居場所を仮想空間に構築することを目指しています。
DNPの取り組み
DNPはこれまで、東京都や静岡県をはじめとする多くの自治体と連携し、メタバースを利用した居場所の提供に取り組んできました。これらの取り組みにより、児童や生徒は新たなコミュニケーションの場を得ることができ、ポジティブな変化を実感しています。今後はこの実績をもとに、福祉分野へとサービスの対象を拡大し、多様なニーズに応えていくことを目指しています。
プラットフォームの特徴
この「居場所づくりプラットフォーム」には、いくつかの独自の特徴があります。まず、PCやタブレットを使い、専用アプリをダウンロードすることなく簡単にアクセスできる点です。利用者は、どこからでも自分のアバターを通して参加でき、プライバシーも安心です。また、1対1の相談やAI相談窓口の活用もでき、気軽なコミュニケーションが促進されます。
次に、メタバース内でのリアクション機能やテキスト・ボイスチャットを通じて、より自然な会話が実現されます。これにより、さまざまな課題を抱える利用者が他者と少しずつつながり、通学や就労といった次のステップへ移れるような環境が整備されています。学習スペースを活用した進学・就労イベントなども計画されています。
沖縄県での展開
DNPは、「居場所づくりプラットフォーム」の提供にあたり、特定非営利活動法人エンカレッジと協力し、沖縄での実証実験を行います。2025年9月からは、沖縄県内の小・中学生や若者に対し、学習支援や交流の場を提供し、新たなキャリア体験を通じて“次のチャレンジ”に向けた選択肢を広げていく計画です。このプロジェクトは、沖縄県の子どもたちが夢と希望を持ち、自らの未来を切り開く手助けをすることを目指しています。
未来への展望
DNPは、2028年度までに累計100の自治体・団体でのプラットフォーム導入を目指しています。これにより、「誰一人取り残されない社会」を実現するための支援をさらに強化していく予定です。また、本人確認機能の実装を進めることで、利用者の安全性を確保し、より安心できる支援環境を整えていきます。
特定非営利活動法人エンカレッジは、2008年の設立以来、沖縄県内で子どもたちの「学び」と「居場所」を支える活動を続けており、今後の協力に期待が寄せられています。これからの取り組みにより、より多くの人々が社会へ参加し、豊かな未来を築いていくことができるでしょう。